研究概要 |
分散ファイルシステムにおける信頼性と管理オーバヘッドのバランスをより適切な点で取る方式について検討を行った結果、以下の成果を得た。 1.既存の分散ファイルシステムにおいて、実際の利用時のアクセス傾向を長期にわたって記録し、転送頻度及び転送量の傾向を分析した。これにより、ギガビットイーサネットのようにイーサネットフレームのMTUが大きい場合には、フレームへのデータ挿入が有効に機能する場合が多いことを確認した。 2.分散ファイルシステムの管理情報をネットワークフレームに添付する方式に関しては、実際のデータ転送に用いられるフレーム数とその他の制御フレーム数の比率を確認するため、イーサネットフレームの記録とフィルタリング処理が可能なイーサフレームスイッチングシステムを作成した。このシステムを用いて種々の応用プログラムの通信傾向を測定し、これらのフレーム数の比率を確認した。 3.1,2の実験から得た基礎的なログの解析結果にもとづき、ネットワークフレームに添付する管理情報の種類と量を検討した。ここでは特に、イーサネットフレームのMTUサイズを有効に活用することを重視した。また、この段階では、フレームロストの対策が重要であることも明らかになった。 4.UNIXワークステーションで動作する汎用システムレベルシミュレータ上に、仮想分散処理環2境を構築した。このシミュレータ上で、既存の分散ファイルシステムを用いる小規模な分散処理環境をシミュレートし、状況に応じて添付する管理情報の種類と量を動的に決定する方式を検討した。また、分散配置するデータの粒度及び物理的位置についても検討を行った。
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