研究概要 |
本研究では,移動端末による多対多広帯域通信サービスを想定したモバイルマルチキャストについて検討し,実用的な処理時間で所望のQoS要求を満たしつつリンク利用効率の良い経路を生成する手法を確立することを目的としている.具体的には,エージェント技術を導入し,使用中の経路情報を自律分散的に把握しながら最適な経路を探索する.ただし,通信継続中に経路を切り替えることはQoS面での影響が大きいため,次に端末の移動によるハンドオフが発生した際に経路を再構成するのに合わせて,漸近的に最適経路に近づける方法をとる.これにより,継続中の通信に影響を与えることなく効率的な経路を生成することが可能となる. 具体的には,core-based方式を基本としつつ端末の移動後も経路の質を高く保つ方式を提案する.提案方式は(1)経路再構成フェーズと(2)core変更フェーズの2つのフェーズからなる.経路再構成フェーズは端末が移動してハンドオフが発生した際に起動され,既存のモバイルマルチキャスト技術と同様に,高速な処理で通信を継続したまま経路を再構成する.一方,core変更フェーズは経路再構成フェーズの完了後に起動され,経路全体の効率性を調べ,必要に応じて適切なノードにcoreを変更する.ただし,変更されたcoreは次回以降の経路再構成フェーズで活用されるため,継続中の通信には何の影響も与えない. 平成19年度においては,無線環境として,単一の無線LANではなく,セルラー網・WiMAX・WiFiといった異種システムを考え,それらを統合的に利用できる環境でのモバイルマルチキャストについて検討し,コグニティブ無線技術を応用することで呼損率を低減する周波数割り当て手法を提案した.
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