研究概要 |
本研究では, 移動端末による多対多広帯域通信サービスを想定したモバイルマルチキャストについて検討し, 実用的な処理時間で所望のQoS要求を満たしつつリンク利用効率の良い経路を生成する手法を確立することを目的としている. 具体的には, エージェント技術を導入し, 使用中の経路情報を自律分散的に把握しながら最適な経路を探索する。ただし, 通信継続中に経路を切り替えることはQoS面での影響が大きいため, 次に端末の移動によるハンドオフが発生した際に経路を再構成するのに合わせて, 漸近的に最適経路に近づける方法をとる. これにより, 継続中の通信に影響を与えることなく効率的な経路を生成することが可能となる. 具体的には, core-based方式を基本としつつ端末の移動後も経路の質を高く保つ方式を提案する. 提案方式は(1)経路再構成フェーズと(2)core変更フェーズの2つのフェーズからなる. 経路再構成フェーズは端末が移動してハンドオフが発生した際に起動され, 既存のモバイルマルチキャスト技術と同様に, 高速な処理で通信を継続したまま経路を再構成する. 一方, core変更フェーズは経路再構成フェーズの完了後に起動され, 経路全体の効率性を調べ, 必要に応じて適切なノードにcoreを変更する. ただし, 変更されたcoreは次回以降の経路再構成フェーズで活用されるため, 継続中の通信には何の影響も与えない. 平成20年度においては, 近未来の多対多広帯域サービス向け無線アクセス網としてWiMAX/WiFi連携メッシュネットワークを想定し, QoSを考慮した効率的な周波数共有手法を提案した. また, 前年度までに得られた方式に対して, 新規発生呼とハンドオフ呼を比較すると, 後者が棄却される方がユーザのサービス満足度の下がり具合が大きいことを考慮した方式拡張を行った.
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