研究概要 |
平成18年度は,主に以下の1,2に従って研究を進めた. (1)ホームネットワークにおけるサービスモデル化方式,性質記述言語の検討 ユビキタス様々な種類の端末機器(デバイス)を一元的に扱うためのモデル化手法を提案し,ユビキタスサービス上での様々な性質を記述するための言語について検討を行った.その結果,ネットワークに接続される各機器を,プロパティとメソッドから構成されるオブジェクトとしてモデルした.次に,ユビキタスサービスを,機器メソッドの実行ロジックを規定するアプリケーションプログラムとしてモデル化した.更にこのサービスモデルを記述するための独自言語を開発した.さらに,サービスが満たすべき性質を記述する言語として,JML(Java Modeling Language)の適用可能性を考察した.これらの成果を,国際会議および国内会議で発表した. (2)サービス競合問題の定式化と競合検出アルゴリズムの検討 (1)で提案するサービスモデルに基づいて,ユビキタスネットワークにおけるサービス競合問題を定式化した.まず各サービス(sとする)がそれ単体で満たすべき性質prop(s)を,形式的に記述する.記述においては,JML言語を用いる.次に,二つのサービスモデルs1,s2の間のサービス競合を以下のように定式化した:「s1はprop(s1)を満たし,かつ,s2はprop(s2)を満たすとする.この時,両者を組み合わせたサービスモデルs1+s2が,prop(s1)∧prop(s2)を満たさなくなる.」.この定式化に従い,サービス競合の検出問題は,サービスモデルが与えられた性質を満たすかどうかを形式的に証明する問題に帰着される.性質の検証においては,JavaのテストフレームワークJUnitとJMLコンパイラを用いて,効率に行うことができた.この成果を国際会議および国内会議で発表した.
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