研究課題
本年度は、昨年度までに開発した分散共有メモリシステムを対象とした、ソフトウェアキャッシュメモリ技術について研究、開発を行った。これは、あるノードのプロセスが他のノードが所有するデータに対してアクセスする際、そのデータを含むブロック単位でローカルメモリにコピーすることにより、それ以降、そのブロック内のデータへのアクセスを高速におこなうことを可能とする技術である。多くの科学技術計算プログラムにおいては、一度アクセスしたデータに対して短時間の間に再度アクセスを行う時間的局所性と、アクセスしたデータの近くに配置されているデータに対して短時間の間にアクセスを行う空間的局所性があるため、この技術が有効に作用する。この技術の開発においては、複数のノードが同じメモリブロックをコピーした場合にシステム全体の一貫性を保持するためのコストが重要な問題となる。すなわち、あるプロセスがコピーしたブロックに対して、他のプロセスによる書き換えが発生した場合、プロセス間でデータの不整合が発生するため、それを解消するためにプロセス間でブロックのコピーに関する情報交換を行う。この情報交換に要するコストが問題となるが、本研究では、この一貫性保持に必要な情報をクラスタ毎に管理し、クラスタ内のコピーを一括して管理することにより、少ない通信コストでの実現を行った。さらに本年度は、並列プログラムにおいて問題となる集団通信コスト、及び通信炉の衝突について、それぞれ改善を行うための技術に関する研究を行った。予備評価の結果、これらの技術によって通信時間短縮の効果が得られることを示した。
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情報処理学会論文誌コンピューティングシステム Vol.1, No.3
ページ: 67-82
IEICE Transactions on Communications Vol.E91-B
ページ: 1015-1024