研究課題
本課題では、免疫系の戦略(移動系と静止系の構成割合、細胞間での巧みな相互作用など)に着目し、移動型センサを含むアドホックな無線センサネットワークに対して、「ネットワークシミュレータ」と「実験用センサネットワーク」の両方を用いて、移動ノードを導入するメリットを探ることが目的である。今年度は、「シミュレータによる検証」と「実験用センサネットワークの構築」を実施した。具体的には以下の通りである。1.シミュレータ上では、無線通信と相互診断機能を持つ複数のセンサノードを用意し、移動型センサの割合や移動戦略を変えながら、免疫型相互診断モデルによる異常ノードの検出性能を調べた。移動戦略として戦略A(ランダムウォーク)、戦略B(同方向の直線移動)、戦略C(異方向の直線移動)を取り上げ、静止戦略も含めて異常検出率を比較した。その結果、戦略Cが最も良い検出性能を示した。また戦略Cにおいて移動ノードの割合を増やすと、検出率は割合0.8付近まで向上した後ほぼ一定となったことから、移動割合にしきい値が存在することが示唆された。さらに戦略Cに関連して移動方向の割当や方向変更間隔を変えながらの追加検証も行った。これらの結果を整理して国際会議KES2006にて発表した。2.実験用ネットワークとして、多くの国内外の研究機関で使われているセンサキット(Crossbow社のMOTE^<TM>)を使用して、静止センサノードだけからなる実験環境を構築した。実験環境は、音/光/温度/加速度などを測定できる無線センサ8個とセンサデータを受信して解析を行うノート型パソコンからなる。なお実験用ネットワーク上で既存手法を実装して性能を評価することは、当初計画していたものの環境構築に時間を要したために実施できなかった。今後本格的に行う予定である。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (1件)
Knowledge-Based Intelligent Information and Engineering Systems, LNCS 4252
ページ: 131-138