研究概要 |
近年のデータ蓄積技術の発展に伴い, 大量の放送映像をオンラインで蓄積できるようになった. 研究代表者は過去8年にわたり国立情報学研究所と共同で大規模放送映像アーカイブを構築してきた. このアーカイブには2,800日(約1,350時間)を超えるニュース映像をはじめとする放送映像が日々蓄積されている. このような大規模放送映像アーカイブの構築が現実的になった一方で, 利用者がアーカイブから必要な知識を引き出す技術や, それを効率的に閲覧するための技術は未成熟である. 本研究では, 利用者が放送映像アーカイブ中の情報を単純に検索・閲覧するのみでなく, 検索結果を再編集した要約映像, いわばドキュメンタリ映像を自動生成し, 効率的に内容を理解する環境を提供することを目指してきた. 過年度までに毎日放送されるニュース番組の映像に対し, ストーリ分割, ストーリ間の時系列意味構造 : 「スレッド構造」の構築, さらにスレッド構造を可視化した閲覧インタフェース上で映像を選択して再編集する機能を実装した. 本年度は実際に要約映像(ドキュメンタリ映像)を作成する際に, モノローグや特定カメラワークを含む映像が重要であるという知見を得た. また, 調理動作や視覚的表現に注目した料理番組映像の再編集方法についても検討した. なお, 最終年度にあたり, 研究全体をまとめて学術雑誌に論文として公表した.
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