三次元地形表示を行うためには、地形データと航空写真が必要である。本研究で用いた地形データは地表面を格子状に分割してその格子点の標高の集合である。その様な大容量の地形データを圧縮する為に、非可逆圧縮の一つであるベクトル量子化を用いた手法を提案した。三次元地形表示の為に、圧縮手法として2つの要求(展開速度が高速である事、任意の領域の標高値を取り出せる事)を挙げ、その要求を満たす圧縮手法のアルゴリズムを提案した。高速な処理を実現するために、展開処理をコードブックに対するランダムアクセスとベクトルの要素数回の加算処理だけで行えるようにした。また、代表的な可逆圧縮手法であるLHAより55%の時間で展開できることを確認した。任意の領域に対して展開処理ができるようにする為に、符号語列は入力ベクトルに対応する代表ベクトルのインデックスから構成するようにした。 三次元地形表示に必要な、情報の取得にコストのかかるデータを保護する為に電子透かしを埋め込む事が必要である。電子透かしの埋め込みで透かし情報を拡散させる為に必要とされる、擬似乱数についての研究を行った。ロジスティック写像を用いた擬似乱数生成器は、計算機上の演算のため、有限制度の演算が求められる。その為解析の進んでいる実数域とは異なる性質を持つ。整数上のロジスティック写像を用いた擬似乱数生成器を設計する上で必要な性質を調査した。ロジスティック写像を用いたシンプルな擬似乱数生成器を定義し、それによる擬似乱数系列に対するNISTによる乱数検定を行うことで、擬似乱数の安全性を評価した。その結果56bit以上のビット長を持つロジスティック写像を用いた擬似乱数生成器を用いる必要があることがわかった。
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