三次元景観表示に必要な航空写真には情報の取得および整備に多大なコストを必要とする。その為、情報の不正な二次利用を防ぐ目的で、電子透かし情報を埋め込む事が必要となる。しかしながら、我々が研究を進めている圧縮方法は利用する航空写真に共通の辞書を利用する。結果的に電子透かし情報は辞書の中に保存されるため、そこに対する攻撃を防ぐためにしづらい位置に情報を埋め込む必要がある。そこで、擬似乱数を用いることが考えられる。その擬似乱数に求められる要件は、1.ビット長の長い擬似乱数を生成可能なこと、2.擬似乱数を生成する乱数種が十分短いことが挙げられる。そこで、一般的には実数上で定義されるロジスティック写像を演算を高速化するために整数上に拡張したうえで用いる事を考えた。しかしながら、X_<i+1>=floor(4X_i(2^n-X_i)/2^n)で定義される整数上のロジスティック写像は自身の性質の解析が十分でないため、擬似乱数生成器として用いる上で安全性の評価が行われていない。そこで、整数上のロジスティック写像の性質を明らかにするべく研究を進めた。ロジスティック写像の計算途中結果4X_i(2^n-X_i)に着目し2nビット長のビット列として見なしたときに、数回写像を繰り返したときの各ビットにおける0と1の出現確率を全探索可能な範囲であるn=4〜30に関して調査を行った。中央のビットは予想通り出現確率は0.5に近いが、上位および下位ビットに関しては出現確率に偏りが見られた。加えて、下位ビットには法則性が見られ、最下位ビットから数ビットに関しては出現確率の理論的な導出結果を得た。
|