研究概要 |
本研究では,舞踊作品を分析することで振付の創作アルゴリズムを明らかにし,それを導入したシミュレーションシステムを開発することを目的とする.本年度は,主に創作シミュレーションに用いるアルゴリズムの考案と,舞踊のオンラインミュージアムの試作を行った. まず,バレエの古典作品で使用される基本動作の傾向を分析し,代表的な振付アルゴリズムの一例として「起承転結アルゴリズム」の考案と実装を試みた.さらに,これらをバレエとは対照的なコンテンポラリーダンスに適応し,コンテンポラリーダンスの振付創作シミュレーションも実験的に行った.コンテンポラリーダンスとの比較をすることで,バレエの振付方法を異なる視点から検討することができた.また,舞踊作品を数値的に分析するために,三次元座標データを用いた特徴量抽出と主成分分析を行った.これにより,バレエの様式と基本動作の有無を数値的に確認することができた. 次に,舞踊のオンラインミュージアムを構築するために,昨年度に開発した基盤システムを改良し,ウェブ上でバレエの古典作品の三次元アニメーションを伴奏音楽付で閲覧できるシステムを試作した.さらに,本年度もプロ・ダンサーの実演によるモーションデータの取得を行った.これまでに取得したバレエの古典作品8曲について,モーションデータの編集,MIDIによる音楽データの作成,衣装の三次元モデルの制作が完了した. 研究の成果は,コンピュータグラフィックス系と舞踊系の国際会議で発表し,各分野の専門家とのディスカッションを行った.
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