研究概要 |
本研究では, 舞踊作品を分析することで振付の創作アルゴリズムを明らかにし, それを導入したシミュレーションシステムを開発することを目的とする. 本年度は, (1)様々なアルゴリズムの導入による振付創作シミュレーション, (2)舞踊のオンラインミュージアムの構築, (3)評価実験を行った. (1) マリウス・プティパ振付のバレエ古典作品10作品とバレエ教師が作成した初級レッスン用振付10個で使用される基本動作の傾向を分析した.「プティパ作品アルゴリズム」と「初級レッスン用アルゴリズム」を考案し, これまでに蓄積したバレエ基本動作データベースを用いて振付創作シミュレーションを行った. バレエの古典作品の振付とレッスン用振付を比較することで, それぞれの特徴が明らかになった. さらに, コンテンポラリーダンスについては, ランダム生成した振付の実演実験を行い, アンケート結果を分析することによって, レッスン用アルゴリズムの試作と振付創作シミュレーションを行った. (2) ダンスの三次元アニメーションを衣装・音楽・カメラワーク付で閲覧できるシステム「Virtual Dance Theatre」を開発し, これまでに収録したダンス作品をウェブ上で公開した. 2008年10月より毎月1作品ずつ公開し, 2009年5月現在, バレエ7作品, コンテンポラリーダンス1作品をウェブ上で公開中である. また, インタラクティブ機能を導入し, ダンスの学習・演出システムの試作やタッチパネルを用いた再生制御も試みた. (3) 本研究で開発した「Virtual Dance Theatre」について, ウェブユーザによるアンケート評価を行った. 衣装や背景をインタラクティブに変更できるため, 特にバレエの演出システムとして有用であると評価された.
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