研究概要 |
植物の生命科学情報は現在のところまだ統合的とは言えず、分断された情報を活用するには一定の情報処理技術が必要になっている。そこで、我々はシロイヌナズナやイネなどの主要モデル植物を基本とした植物統合データベースを構築し、さらに作物モデル植物との関連情報を結ぶことで、植物に関する包括的な研究支援を行うことを目標とした。 統合対象データの調査を行った結果、シロイヌナズナ、イネ、ポプラ、ダイズ、キャッサバが植物種の候補として挙がった。これらの植物種はESTデータが充実している(シロイヌナズナ:約1,526,000、イネ:約1,220,000、ポプラ:各品種合計で約523,000、キャッサバ:約74,000)ことに加え、シロイヌナズナ、イネ、ポプラは高精度なゲノム塩基配列が利用可能であること、キャッサバは食糧、エタノール原料などバイオマスとして注目されていることが理由として挙げられる。 統合に際しては、各植物について体系的なデータベースが存在することが必要になる。統合的なデータベース設計と並行して、各植物種についてのデータ整理、解析を行った。現時点では、シロイヌナズナ、イネと比較すると、それ以外の植物は後発の解析対象種であるため、整理されたデータは少ない。そこで、各々のESTを中心とした解析を進めた。キャッサバとポプラについては、新規ESTデータを含めた解析が完了している。キャッサバの解析結果は論文として出版されデータベースの公開、運営が既に2008年2月より開始されている(http://amber.gsc.riken.jp/cassava/)。ポプラについても投稿、およびデータベース公開の準備中である。 以上のように、統合対象種の調査、データ収集および生産、論文発表、データベース構築を行い、研究実施計画に則った研究活動を実施した。
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