研究概要 |
本年度は,ネット上のコミュニケーションの分析を行い,メッセージの背後に込められた問いを抽出する手法の開発を行った.また,NPO法人ドットジェイピーにおいて用いられたメールアーカイブを分析し,アンケート結果と照らし合わせることによって,リーダーシップ行動を定量的に明らかにした.また,フィールド(生活空間)に少し変化を起こすことで,人々の意識や行動がどのように変わるのかを研究する実証実験を3つ行った.フィールドマイニングの一つめのケースは,景観マップを用いた情報共有によるフィールドの魅力再発見である.ここでは阪神大震災で被害を受けた神戸市東灘区青木地区を対象としており,震災前から住んでいる旧住民の意見から作成した景観マップ,震災後に移り住んだ新住民の意見から作成した景観マップを作成した.イベント会場(第2回青木ふれあいフェスタ)にてそれらの景観マップを新住民,旧住民に見てもらったときの意識の変化をインタビューを通して分析した.二つめのケースは,小冊子を用いた情報共有によるフィールドの魅力再発見である.ここでは大阪市の淀屋橋から本町周辺を対象としており,フィールド調査によって明らかになった屋外昼食行動を小冊子「お弁当日和」にまとめた.この「お弁当日和」をアンケートと一緒に路上配布し,「お弁当日和」による屋外昼食行動への意識と行動の変化を分析した.三つ目のケースは音風景(サウンドスケープ)を用いたフィールドの魅力再発見である.ここでは十三地域を対象としており,インタビューや文献調査により得られた十三らしい音風景を収集した.イベント会場(第3回淀川アート見本市)にてそれらの音を聴いて音風景を想起してもらったときの十三地域への意識の変化をインタビューとアンケートを通して分析し,また音風景の評価構造を抽出した.
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