研究概要 |
本研究は、言語の表出・受容が困難な重度肢体不自由者および知的障害者を対象とし、「人と人との会話」および「身の回りの機器への働きかけ」を可能にする、高度意思伝達支援システムの研究開発が目的である。 本年度は、主に次の2テーマについて研究を行った。 1.Multifaceted User Interface 重度肢体不自由者および知的不自由者のユーザインタフェースに対する要求は、障害の種類・程度、使用機器等に応じて大きく異なる。そのため、高度意思伝達支援システムは、複数のユーザインタフェースを備え、要求に応じた選択・適応処理を施す必要がある。そこで本テーマでは、ユーザの能力・障害や使用状況等の特異情報に応じて、多段階でのユーザインタフェース選択・適応を実現する「Multifaceted User Interface」について研究を行った。モデルおよび実装例等、その成果の一部を「Proc. of the 2^<nd> IASTED Int'l Conf. Human-Computer Interaction」で発表した。 2.マルチメディアヒエログリフの翻訳 「マルチメディアヒエログリフ」とは、主語、述語、時間、場所、理由・条件、方法の観点で構造化した枠組みに単語(PCS, PIC等の絵シンボルや写真も含む)を当てはめ、意思を表現する拡大・代替コミュニケーション手法である。従来の手法では、抽象的な絵シンボル表現された単語は複数の意味を持ち、さらにそれらを組み合わせる際に単語間の関係性が不明確であったため、経験を積んだパートナーでなければ提示された意思の理解が難しかった。そこで本テーマでは、助詞や時制等を補完し、マルチメディアヒエログリフで提示された内容を日本語および中国語に翻訳する機能について研究開発を行った。生成する翻訳文の品質向上や多言語対応を目的としたシステムの改善と日本人および中国人による評価実験を実施し、その成果の一部を「Proc. of the 9^<th> Int'l Conf. on Humans and Computers and the 7^<th> Int'l Symposium on Spatial Media」で発表した。
|