研究課題
対面コミュニケーションでは、単に言葉によるバーバル情報だけでなく、音声に対するうなずきや身振り・手振りなど言葉によらないノンバーバル情報が相互に同調して、対話者同士が互いに引き込み合うことでコミュニケーションしている。本研究では、この身体リズムの引き込み原理を小型パートナーロボットに導入することで、ロボットとかかわりあいながら、共に「講義→演習→復習」を繰り返すシステムの開発を進めている。本年度は、PC制御による駆動機構の設計・製作と、駆動ソフトウェアの開発・評価を行った。具体的には、音声駆動型うなずきロボットを介したコミュニケーションのコンセプトと、その要素技術としての身体的映像中継手法のコンセプトを提案し、プロトタイプシステムの開発と評価実験を行った。まず、カメラとプロジェクタを搭載したプロトタイプロボットを開発し、評価実験を行った結果、ロボットを介した映像中継におけるうなずき反応提示の効果が明らかになった。実験後のコメントでも、「ロボットに入って視聴しているかのような感じがする」「うなずきが伝わる感じがして臨場感が上がる」など、撮影している場との一体感や臨場感が向上するという意見があった。開発したプロトタイプのままでは視聴者が不快に感じることもあるなど、コミュニケーションを楽しむ音声駆動型うなずきロボットの実現には課題が残されるものの、評価実験の結果は、このようなロボットメディアの有効性を示唆するものであった。また、ロボットやCGキャラクタをインタフェースとするインタラクション設計や、ロボットを介する遠隔教育のための教示インタフェースの開発などの研究開発も並行して進めており、来年度には、これらインタフェース技術を統合させたメディアロボットとしてシステム開発を進めたい。
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情報処理学会論文誌 47・8
ページ: 2769-2778
Proceedings RO-MAN 2006 - the 15th IEEE International Symposium on Robot and Human Interactive Communication
ページ: 629-634