研究概要 |
本年度は、昨年度の成果を踏まえ、Web上の分類体系と図書館分類体系を統合的に活用する情報探索システムを実際に図書館の現場にて運用し、提案手法の有用性を評価した。成果の概要を以下に示す。 1. Web分類体系と図書館分類体系の統合利用手法の研究 平成18年度に整備したWeb分類体系(Wikipediaなど)と図書館分類体系(基本件名標目表など)のデータベースを活用し、両者を高精度で対応づけ、さまざまなユーザ質問に対して一般的な概念を効率的に提示する手法を研究した。その結果、Wikipediaに含まれる40万以上の項目に対して、高精度で件名・図書分類コードを導出可能であることが確認された。 2. 情報探索メタ知識の拡充 平成18年度に試験的に作成した図書館向けの情報探索メタ知識データベースを拡充し、主要な件名に対して有用なレファレンス情報資源を紐づけた。 3. 可視化インタフェースの開発 利用者が入力したキーワードに対する調べ方の切り口を可視化し、ヒントとなる情報資源に誘導するインタフェースを開発した。 利用者が入力したキーワードに対する調べ方の切り口を可視化し、ヒントとなる情報資源に誘導するインタフェースを開発した。 4. 汎用シソーラス探索ライブラリの実装 本研究で利用する主なシソーラス情報資源(Wikipedia、図書館分類体系など)を効率的に活用可能なライブラリを実装した。本研究の成果は、言語処理学会第14回年次大会にて発表した。 5. プロトタイプシステムの拡充と公開運用 平成18年度に実装したプロトタイプシステムに上記1〜5の成果を実装し、東京大学附属図書館にて公開運用し、多数の一般ユーザや図書館員に利用してもらった。 6. 運用ログの評価 プロトタイプシステムの公開運用によって得られた運用ログの分析を被験者に依頼して行い,提案手法の有用性を示した。
|