画像内容検索に関する研究は、画像認識の応用研究の一つとして、盛んに行われてきているが、画像特徴量と利用者の主観とのギャップであるセマンティック・ギャップを埋めるには至っておらず、課題として残されている。そこで、本研究では、対話型スケッチ画像検索において、知識発見手法を用いて膨大なデータベース画像、スケッチ図、利用者の評価から、有用な情報を取得し、セマンティック・ギャップを埋め、検索精度の向上を実現させることを目的とする。 利用者が入力する「車」のスケッチは、データベースの「車」画像に対してよりも、過去に入力された「車」のスケッチの方に類似している場合が多いはずである。したがって、データベース画像と入力スケッチが関連付けできれば、過去の入力スケッチが橋渡しの役割をし、画像特徴量と人間の主観のギャップであるセマンティック・ギャップを埋めることができ、検索精度の向上が期待できる。この関連付けは単純ではあるが、利用者の検索結果に対する評価のみならず、利用者の意図を反映している入力スケッチを有効に利用することでセマンティック・ギャップを埋めようとしている点に特徴がある。 提案した適合フィードバックを用いたスケッチ画像検索法では、検索結果に対する利用者の適合評価により、入力スケッチと適合画像を関連付けすることで画像とスケッチの間の橋渡しができ、セマンティック・ギャップを軽減することが可能となった。また、評価されていないデータベースに追加された画像などに対しても、類似画像検索を応用することで、自動関連付けを可能にした。さらに、データマイニングの一手法であり、人の感性的な判断が介在する分野に応用することで効果が期待できるラフ集合を用いることで、利用者に不適合画像と評価された情報から知識を獲得し、未評価画像の中から不適合画像と評価されそうな画像を推論し、検索精度を向上させた。
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