研究概要 |
階層クラスタ分析は,統針データから母集団のある傾向を分析するためによく使われる. 本研究では,階層クラスタ分析における標本のラベル(分類値)の階層性をボトムアップ的に推定することを目的とした,新しいクラスタ(標本の集合)間の非類似度を提案した。 この非類似度は,標本の母集団が混合モデルである場合に,ある種の情報理論的な妥当性を持っている。 実際のデータに対するクラスタ分析の成果として,窓ガラスなどのガラス成分データや音声を構成する音素データの階層構造を同定する際に,提案した非類似度が有効であることを計算機実験により示した。 これらの成果は,パターン認識分野の主要な国際誌であるIEEE Transactions on Pattern Analysis and Machine Intelligenceに掲載され,さらに電子情報通信学会論文誌Dでの採録が決定している。 曲線整合とは,与えられた二つの曲線に対して,一方の曲線上のある点とそれに対応するもう一方の曲線上の点を見つけることで,パターン認識分野での幅広い応用が期待される。 例えば,曲線を手書き文字さすれば文字認識に,曲線を画像の輪郭とすれば画像認識や形状解析に応用することができる。 本研究では,元は同じ二つの曲線のうちの一方が区分的に相似に変形しても適当な曲線整合をとることが可能なアルゴリズムを導き,タブレット入力による手書き曲線を使った計算機実験によってアルゴリズムの有効性を確かめた。 この成果の一部は,情報科学技術レターズに掲載された。
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