研究概要 |
本研究では個人間における情報流通支援を目的として,情報ならびに情報源の信頼性を評価するための基盤の構築を行った.近年のWebにおいては,個人が情報の公開範囲を適切かつ低コストで制御することや,膨大な情報から選択的に必要な情報のみを受信する手法が求められている.そこで,本研究では,これらの課題を解決するために,個人間の関係,すなわち社会ネットワークを形成することによって情報の流通経路を明示化し,コントロールを行うことのできる環境の設計を行った. 今年度の研究では,個人のタスクスケジューリングを対象としたシステムの構築を行った.このシステムでは,タスク情報を登録する際に,情報を公開する相手を選択することができる.選択された相手は,この情報を参照し,タスクを取り込むかどうかを判断する.タスクの取り込みや実行,タスクに関連するコミュニケーションなどの履歴はシステムに記録され,これらの情報から社会ネットワークの形成と各個人間の信頼性評価基準である重み付けがなされる.そして,このネットワークからクリークとなる部分グラフの抽出や,各ノードにおける中心性の分析を行うことで,明示的に指定された相手以外であっても信頼性に応じたタスク情報の公開や推薦が行われる. このシステムを運用した結果,個人間の共同作業が促進されるとともに,社会ネットワークが明示化されることで新たな関係が発見され,コミュニケーションの契機となることが確認された.
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