本研究ではソーシャルネットワークを用いた情報推薦技術に関する研究を行う。利用者にとって価値のある情報を発見し届けるには、情報の価値を計量する方法、情報の発信者と受信者との関係を捉え利用する方法が重要であると考える。そこで本研究ではソーシャルネットワークに着目し、これを用いた推薦技術の研究開発を行った。本研究において取り組む課題として、情報推薦のためのソーシャルネットワークの分析と、ソーシャルネットワークを用いた情報推薦アルゴリズムおよびシステムの研究開発の二つを挙げる。 平成18年度は、ソーシャルネットワークを用いたオントロジー抽出手法とそれを用いた情報推薦アルゴリズムの研究開発を行った。これはP.Mikaが2005年に提案したソーシャルブックマークを用いたオントロジー抽出手法に対してソーシャルネットワークを加えることで改良を行うものである。ソーシャルネットワークからコミュニティを見つけ出し、それを利用することで語の多義性問題の解決を図る。データには提案者が開発に参加したSNSおよび既存の商用SNSのデータを利用した。 また、コミュニティ支援システムを平成18年6月に開催された人工知能学会全国大会において運用した。ここではソーシャルネットワークを利用した論文推薦と人推薦の2種類を実装し運用した。人の推薦では、推薦され興味を持った相手とインタラクションが成立して始めて推薦は成功であったといえると考え、ただユーザが興味を持つと思われる人を提示するだけではなく、人による紹介を支援するシステムの研究開発を行った。これは実世界における紹介という行為が、人と人とのマッチング手法として優れているという考えの元、その紹介行為をソーシャルネットワークを利用して支援するというものである。
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