実環境下での物体認識は多くの問題を抱え、位置の変化、大きさの変化、明るさの変化への適応、そしてリアルタイム性の確保などの問題は、その実現はこれまで既存の手法ではまだ十分な解決には至っていない.本研究では、従来の認識手法と異なる新しいベクトル量子化コードブック空間情報処理による物体特徴抽出手法を試みた.今年度の研究成果は以下のようになる. まず、回転・スケール変化・照明変化に不変なSIFT特徴の局所記述子を、ベクトル量子化ヒストグラム(VQ)を用いるアルゴリズムを提案した.従来のSIFT局所記述子の特徴ベクトルは方向ヒストグラムを用いることに対して、ベクトル量子化(VQ)ヒストグラムを適用することにより、SIFTの識別性を向上させるVQ-SIFT手法を提案した.再現率対不適合率の評価指標を用いて、Gaussianノイズ、回転とサイズ、及び輝度変化は提案手法への影響を検証する実験結果により、VQ-SIFT記述子は従来の方向ヒストグラムを用いたSIFT記述子より画像の変化にロバストであると分かった. また、ベクトル量子化コードブック空間処理を用いる物体認識手法の中に、非常に重要な役割を果たしているコードブックの構成を検討し、最大エントロピー定理(MEP)に従って、パターン分析により作成した理論的な2x2コードブックと自己組織化マップ(SOM)により生成したコードブックを組合せ、最適化コードブックを作成した.AT&Tデータベースを用いて、98.2%の最大平均認識率が得られた. さらに、2x2コードベクトルを4次元の配列と見なすことができるので、量子化処理にテーブル参照方式を導入するができた.それで、認識率に影響がなく、全認識処理時間は28msecで、実時間の顔認識実現できた。これを物体認識に適用することにより、認識精度と処理速度両立できるロバストなリアルタイム物体認識手法が確立できる.
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