研究概要 |
本研究では,授業における教員の話し方を自動評価すること,また,講義・講演等の話し言葉のアーカイブデータを効率よく検索する技術の開発を目的とした.そこで本年度は,以下の3点の項目について重点的に研究を行った. 1. 大学の講義・講演音声の収集と書き起こしの整備 2. 大規模な音声データベースを検索するための高精度インデキシングを行うための枠組みの確立 3. 前年度までに開発した講義や講演音声の自動評価システムの評価精度の改善 まず, 1. に関しては, これまで集録した講師以外に新たに10名の講師の音声を収録することができた. また, その書き起こしの整備もできた. これらのデータの一部は, 研究目的限定で公開予定である. 2. に関しては, 音声認識率の改善と, Webページを利用する方法を開発し, 実験的に開発した手法の有効性を示した. Webページを利用した音声認識率改善の試みにより, 情報検索のキーワードになりやすい名詞の認識率を大幅に改善することができた. また, 同じくWebを利用した文書拡張技術により, 最大で7.5%の情報検索精度の改善を得ることができた. 最後に, 自動評価システムでは, 音声認識率や音声認識結果に付随するスコアなどの新しいパラメータを模索し, 人間の印象評価結果とこれらのパラメータとに高い相関があることを突き止めた. また, 話し言葉中に含まれているフィラーの使い方の自動評価システムも新たに開発した. これらの成果を利用することで, 講義をより精度良く自動で評価できるシステムの開発に成功した.
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