画像中の点列に対する楕円の当てはめ: 円形物体を含む画像から円形物体を検出するために、画像中から物体のエッジを検出して、その点列に対して楕円の方程式を当てはめる。画像からのエッジ検出では、平滑微分を行った画像と平滑ラプラシアンを行った画像を組み合わせて利用することで、比較的切れ目のないエッジを得る。検出した点列の中から手動で一部の点列を指定して楕円の当てはめを行う。楕円の当てはめはFNS法と呼ばれる最尤推定手法を用いて高精度に行う。このとき、シーン中の円形物体を他の物体で部分的に隠して、円弧の一部しか得られない状況に対してどの程度正確に楕円が当てはめられるかを実画像実験で確認した。 物体の全周3次元復元: 物体の3次元形状を復元する代表的な手法に因子分解法がある。因子分解法は物体上の特徴点を複数のフレームに渡って追跡し、特徴点の軌跡から3次元形状を計算する。このときすべてのフレームで特徴点が追跡されている必要がある。因子分解法で物体の全周を復元するには、全周に渡って特徴点を追跡する必要があるが、カメラの動きに伴い追跡中の特徴点が他の面に隠されるなどして、追跡に失敗して全周に渡って完全な追跡を行うことが困難である。そこでフレームを分割して部分軌跡にアフィン空間を当てはめて追跡に失敗した特徴点の座標を推定することで全周の特徴点の軌跡を計算する方法を検討した。提案手法は追跡できた特徴点の座標が正確であれば、精度のよい結果を得ることができることを確認した。しかし、物体の全周を追跡する際に生じる独特の追跡誤りの影響で必ずしも正しい推定が行えないことがわかった。
|