本研究は、弱視者や高齢層に対し、カメラ映像を基にした視覚の支援、視線の注目領域における環境理解等、人の支援を行うITメガネ構築のための要素技術について検討を行う。今年度は、以下の項目について検討・開発を行い、成果を得た。 1、視力障害補助手法の検討・開発 人は比較可能な基準色がない場合、乏しい輝度変化や他色との比較については反応できず、信号等の色補正では、信号色の区分を明確にするための明暗を強調した映像提示を行う必要があることが分かった。 2、環境理解手法の検討・開発 走行空間における危険物認識手法として、仮想平面上での画像相関を用いた障害物検出手法を開発した。実験では仮想平面上における植栽を検知し、障害物を検出した領域には、道路境界によって相関が生じた局所領域を検出可能であった。歩行中など実時間性を確保するシステムの可能性を示すために、ステレオ法を用いた計測における距離計測を省略し、計測点を移動させることで得られる連続画像群間から空間の物体座標を測位することで、通常のステレオ法と同様の計測が可能であることが分かった。 これらの基本的成果をウェアラブルコンピューティングにおける視覚支援機能を持つITメガネの実現、適用可能性も実験的に検討し、よい見通しを得た。以上の成果を基に、次年度は人の注目領域を検出、交差点等にて人の視界外における危険物接近状態を知らせるための危険物認識手法を検討・開発する。
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