本研究は、弱視者や高齢層に対し、カメラ映像を基にした視覚の支援、視線の注目領域における環境理解等、人の支援を行うITメガネ構築のための要素技術について検討を行う。今年度は、以下の項目について検討・開発を行い、成果を得た。 1、環境理解手法の検討・開発 歩行中の視界画像から道路遠方の消失点を基にした道路領域検出および歩行者の姿勢・位置の推定手法を開発した。具体的にはHough変換と膨張処理を用いて消失点を検出し、道路境界部の複雑度を用いた道路境界線検出を行った。また消失点の中央線からのずれ量より、歩行者の姿勢を推定し、検出した道路境界線を用いての歩行者の道路上の位置を推定した。その結果、消失点検出および道路境界線を安定して検出出来れば歩行者の姿勢・位置は安定して推定可能であった。 2、危険物認識手法の検討・開発 歩行中の全方位画像から歩行者の進行方向・速度を推定する手法を開発した。具体的にはオプティカルフローを用い、オプティカルフローの角度と長さを投票することで歩行者の進行方向や速度を推定、その結果、投票が少数であるオプティカルフローを危険物である可能性が高いと推定した。 これらの基本的成果をウェアラブルコンピューティングにおける視覚支援機能を持つITメガネの実現、適用可能性も実験的に検討し、よい見通しを得た。以上の成果を基に、次年度は研究成果を複合的に用いて注目領域以外の高解像度画像取得、同画像における危険物(車など)の進行方向や速度等を計測し、危険であれば危険情報提示を行う支援システムを検討・開発する。
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