研究概要 |
多様な変形運動を行う物体の動的形状および輪郭モデリングは,バイオメカニクス分野などで生物の運動性質やその能力の計測,解析する上で鍵となる技術である.これらに関連する研究成果は数多くあるものの,それらの理論は一般に煩雑なものが多く,その計算アルゴリズムも複雑なものがほとんどである.また,動的に変形運動を有する海洋生物,微生物,血液中の有形成分などのいわゆるウェットマテリアル物体の運動理解を念頭におき工学的見地から行った研究は見られないのが現状である.したがって,動的に多様な変形運動を行う生物体の動的輪郭モデリング手法に対する整然とした理論や簡潔なアルゴリズムの導出が望まれるところである. これらに対し,本研究では数理的,制御論的な立場を重視し,正規化された一様なBスプラインを基底関数として用いて,変形運動を有する物体の動的形状・輪郭モデリングを行うための整然とした理論の構築および実用的なアルゴリズムの開発を行った.具体的には,理論面では,曲面の漸近的・統計的解析,周期曲面の設計法までを確立した.特に,これらの研究成果は,これまでに得てきた曲線(1次元)に関する結果を自然な形で拡張することで得ている.また,理論の妥当性,アルゴリズムの有用性を示すためにシミュレーション実験だけではなく,実際のクラゲが運動を行う動画像情報を使った実験までを行った.ここで得られる動的形状モデリング手法をうまく活用することで,ウェットマテリアル物体の変形運動の特性を定量的に表現するための手法までを開発した.
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