研究課題
本研究では、複数の視覚センサから成る小規模なセンサネットワークをセンシングユニットとし、上位のセンサネットワークにおけるセンサノードと見なした階層構造のセンサネットワークにより、人物同定空間を構築する。センシングユニットでは、画像から得られる低レベル情報をセンサ相互で密に通信し融合してユニット内での人物追跡・同定を実現しながら、センサノードとして対象人物に関する冗長かつ有意義な情報を収集する。さらに、センシングユニットのネットワーク化による、人物同定および広域での人物経路情報の獲得が可能な空間の構成法に関する知見を得ることを目指す。平成19年度は、前年度に開発した物体追跡アルゴリズムを実装した複数の視覚センサをユニットとした、センシングユニットの構成を提案した。メインカメラが1台およびその他の数台のサポートカメラにより構成したセンシングユニットにおいて、各カメラにおける対象物体の追跡状況(3次元位置、追跡継続時間など)をリアルタイムに評価して、追跡状態に応じて動的にカメラの役割を変更する、ユニット内の協調アルゴリズムを開発した。実際に4台のカメラから構成されるセンシングユニットを構成し、動的な役割の変更および対象の追跡が実現できることを実験で示した。また、センシングユニット同士の協調による広域での追跡に関して、ファジィ推論に基づく追跡権のハンドオーバーを提案した。本手法では、各ユニットにおける追跡継続の妥当性を数値化し、追跡権の有無およびカメラ視野内の対象の位置に基づいて、ファジィ推論に基づいた状態遷移を行なう。隣接するユニット間で妥当性を互いに評価し、追跡継続する上で最も妥当であるユニットに対し追跡権を委譲する。シミュレーションにより本手法が広域での対象追跡に有効であることを確認した。
すべて 2007
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Journal of Artificial Life and Robotics Vol.11,No.2
ページ: 204-210