研究概要 |
スポット光やスリット光を利用した光応用計測において,信号光位置は測定対象の空間位置情報を与える最も基本的かつ重要な要素である.たとえば,三角測量原理に基づくレーザレンジファインダでは,測定対象に照射したレーザ光の反射ビームを光学的ポジションセンサで捕らえ,その検出位置から測定対象の3次元位置を算出する.したがって,光学的ポジションセンサの位置検出精度と検出時間は光応用計測システムの性能を左右すると言っても過言ではない.このような背景から,光学的ポジションセンサには,(1)複数信号光の同時検出,(2)高速検出,(3)高精度検出,(4)背景光補償による高信頼性などが要求される. そこで本研究では,これらの要求を同時実現する新たなポジションセンサの開発を目的とし,本年度は以下のように,主に2次元アレイ型センサから光入射位置付近の画素データのみを並列探索するアナログ走査回路の設計・製作を行った. [1]外来光と信号光が混在する光強度パターンと信号光位置の関係を基に,外来光が位置検出に与える影響をニューラルネットワークで学習するアルゴリズムを検討した.その結果,測定環境中の既知の位置から投影される参照用光源を利用して,その光強度パターンと参照用光源の位置データからニューラルネットワークで光位置検出が可能であることを確認した. [2]上記[1]のアルゴリズムをハードウェア化すべく,回路設計を行った.研究期間の制約からマイクロコンピュータを利用したプロトタイプシステムを作成する方針である.(次年度継続) [3]精度補償アルゴリズムに関して,遺伝的プログラミングによる適応的な外来光除去法を考案した.シミュレーション実験によって,なんら学習を必要とせず,スポット的な外乱光,線形的な外乱光および電気的な高周波外乱を除去可能であることを確認した.
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