研究課題
本研究では、教師なし学習のSOM(自己組織化マップ)と教師あり学習のCPN(カウンタープロパゲーションネットワーク)を併用した表情空間マップ(FEMap)の生成手法について検討を加えた。はじめに、表情の表出プロセスにおける顔パターンの位相変化を狭い写像空間のSOMを用いて階層的に学習し、被験者固有の表情カテゴリ数および各カテゴリの代表画像を抽出した。これは、SOMの情報圧縮機能を利用した処理であり、これにより、大量・高次元の表情画像に対し、各表情画像の位相特性の差を基に大局的な分類から局所的な分類を行うことが可能となる。実験の結果、提案手法により、表情(感情)のカテゴリは同一であっても、被験者ごとに異なる「表情パターン」のカテゴリが導出されることを確認した(個人固有の表情パターンの分類・抽出)。次に、広い写像空間のCPNを用いて各カテゴリの代表画像を学習し、表情の位相変化を捉えたカテゴリマップを生成した。これは、CPNの情報拡張機能を利用した処理であり、被験者ごとに固有の表情カテゴリを学習データとして用いることにより、個人固有の特徴を考慮したカテゴリマップが生成される。本研究では、このカテゴリマップを個人固有のFEMapとして定義した。実験の結果、FEMap上には、個人固有の表情の豊かさが表現されることを確認した(例えば、喜びの表情が豊かな人、等)。平成18年度は、6名の被験者の基本6表情と無表情を対象としてFEMapの生成を行った。平成19年度は、FEMap上での中間表情や混在表情の位置づけを明確にし、感情の推移や強度を表現可能なFEMapの生成手法について検討を加える予定である。また、FEMap上の状態遷移から個人固有の表情表出パターンを特定し、個人認証への適用について検討を加える予定である。
すべて 2007
すべて 雑誌論文 (2件)
電子情報通信学会技術研究報告 (PRMU2006-223) Vol.106, No.539
ページ: 11-16
電子情報通信学会 第18回データエ学ワークショップ (CD)
ページ: 8