研究概要 |
1.組立タスクの分析・作業文脈を記述する手法の検討: 組立タスクの内容を分析することで,その作業文脈を記述する手法を検討した.タスクに現れる「状態」や「アクション」を単なる物理的現象と見るのではなく,それらが目的や意図をもった「意味的情報」であるという見地から文脈知識を記述する手法を考案した.ここでは,セマンティックウェブの手法を応用し,ロボットの動作を「コマンド+注釈(アノテーション)」とし,動作に関する意味的情報を注釈部に記述する手法を提案し,そのようなロボットプランを記述するシステム(エディタ)を構築した.このために,オントロジー工学の手法を応用し,ロボットの動作,作業の状態をそれぞれ機能概念,関係概念を中心として記述する手法の基礎を作った.そして実際に,動作の一部を機能オントロジーによって体系的に記述し,その語彙を用いて意味的情報の記述を試みた.これにより,ロボットの動作系列から文脈知識を抽出可能であるとの見通しが得られた. 2.エラー原因推論手法の検討: 作業内容の定型を意味的に記述したタスクモデルと,現在のロボット動作に関する文脈知識を利用することでエラーの検知と原因推定を行う手法を検討した.ここでは,動作の目的を考慮し,それに適合しないセンサ情報を異常と判定するという手法を提案した.そして,そのセンサ情報の原因を,何らかの機能概念の動作主体とみなすことで原因推定を行うという推論手法を検討した.推論システムのプロトタイプを構築し,運搬作業中にその作業を妨げる異常な力を検知することで,何かの主体がその原因となっている,という推論を実行可能であることを示した.
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