研究概要 |
本研究は,自然言語処理技術の形態素解析や構文解析,文脈解析等を用いて文章,あるいは対話データから概念グラフ構造を抽出する手法について主に研究を進めている.概念グラフの要素は概念群とそれらの関係性(主に肯定的関係と否定的関係)であり,個人の持つ主観的な関係性の抽出も視野に入れているため,ユーザがある程度恣意的に概念や関係性を選択できるように調整した.テキストデータから重要概念を抽出し,それをもとにユーザがグラフを簡単に作成できるシステムの構築を進めている.平成18年度は,形態素解析ツールを用いて文章中の重要単語を抽出した後,ユーザが重要概念同士の関係性を判断するための文を表示させるシステムを作った.さらに,このシステムは概念グラフ構造がどの程度の空間的な広がりを持っているか,また,この概念グラフがどのような認知的不均衡タイプであるかを表示させることができる.今回構築したシステムはAI & Societyの特集号に詳しく掲載予定である. また,本システムの基礎理論の応用として,概念グラフ構造を持ったマルチエージェントを仮定し,いくつかのパターンについてシミュレートした.これによって集団を運営する上でのストレスマネジメントについていくつかの新たな知見を得ている.たとえば、必ずしもコミュニケーション回数が増えるにつれて各エージェントの感じるストレス量が減るとは限らないということが分かり,このことについて,国際会議にて発表した.
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