研究概要 |
本研究において目標とするシステムは対話データや日記,ブログ等のテキストデータを自然言語処理し,個人にとって重要な概念構造を抽出する.そして,ネットワーク状に描かれる概念群における論理的矛盾や認知的不均衡を視覚的に提示するものである.主観的な情報を取り扱うために,ファジィクラスタリング等の技術を用いてその空間的な広がりや情報量を視覚的に表現する手法をいくつか提案している. 今年度はこのようなメディアに関して検討,設計し,プログラミングを行うと同時に,得られた知見を応用する-つの手法として,社会システムシミュレータとしてのマルチエージェントシステム研究も発展させた.既存のマルチエージェントシステムとの関連,相違について,マルチエージェントシステムを専門とする研究者と協力し,提案する概念構造を持つエージェント群をコンピュータ上でシミュレートした.その際にはコミュニケーションの形態や概念構造の密度といったパラメータなどが,エージェント集団がどの程度のストレス状況にあるかにどのように影響するのかについて調査した。これらの研究成果については国際会議であるSID2007にて発表した. また,概念構造の生成過程を強化学習の視点からモデル化し,エージェント自身の試行錯誤とエージェント間のコミュニケーションが概念を形作る学習構造について研究を進めており,その一部については国際会議であるWCCI 2008にて発表予定である.
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