研究概要 |
本研究は個人が持つ自己概念(価値観やそれに付随する葛藤状態)を視覚的にわかりやすいインタフェースとして提供することを目標としている. カウンセリングやセラピー等では現実の自己と自己概念のズレが社会との不適応を生むとされており, 自分の価値観について明確に把握することは重要とされ, かつ, それはカタルシスという精神的浄化作用を持つとされている. 通常のカウンセリングやセラピーでは, セラピストによる肯定的態度とクライアントが自己を正確に把握するための質問によって, クライアントは自己概念を修正し, 適応的な自己概念を獲得する. 本研究において目標とするシステムは対話データや日記, ブログ等のテキストデータを自然言語処理し, 個人にとって重要な概念構造を抽出する. そして, ネットワーク状に描かれる概念群における論理的矛盾や認知的不均衡を視覚的に提示するものである. 自己概念を(概念をノードとする)グラフとして記述し, ケアに関して情報学的にアプローチし, 自己概念を表現する概念グラフ構造の厳密化を行う. 自然言語処理技術を導入することによるグラフ構造の抽出の自動化を行う点と, 隣接行列として現れるグラフ構造をファジィクラスタリング等の知見を用いてより直感的でわかりやすくする点に主な特色を持っている. 本研究の成果をまとめ, 新しいメディアや社会シミュレーションツールの提案する発表を国際会議FUZZ-IEEE2009にてする予定である(採録決定).
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