研究概要 |
1、本研究では目的変数の値を区間値、説明変数の値を実数とする場合、与えられた区間出力値と可能性システムから得られる推定区間値との包含関係から上界と下界可能性回帰モデルを同定する手法を提案した。上界回帰モデルでは、目的変数の推定区間値は実測区間値を包含し、下界回帰モデルでは、目的変数の推定区間値は実測区間値に包含されるという関係がある。上界・下界回帰モデルにおける説明変数の区間係数を求める問題は前述した包含関係を制約条件とし、上界回帰モデルにおける推定区間値の幅を最小にし、下界回帰モデルにおける推定区間値の幅を最大にするような線形計画法問題に帰着できる。更に、非線形可能性回帰モデル、二次計画問題に基づくアプローチも提案した。集合論に基づく不確実な概念を分析するラフ集合理論の上界・下界近似と可能性回帰分析の上界・下界回帰モデルとの関係及び可能性測度と必然性測度との関係を分析した。更に目的変数の値をファジィ数、説明変数の値を実数とする場合にはファジィ数と区間との関係を考慮し、一般化した可能性回帰モデルを提案した。 2、ラフ集合では,不確実な概念を上界近似と下界近似という2つの集合を用いて外側と内側から近似している。ラフ集合理論に基づき,要因空間と結果空間とを同値関係により分割し、二つの空間の関連性を調べることで、与えられたデータから人間の感覚に近いif-thenルールを導き出すことができ、現実の複雑な現象においても、説明変数と目的変数との間の因果関係を見つけることができる。しかし、サンプル数と属性数の多い問題に対して、従来のルール抽出方法や属性簡略方法を用いて決定表から求められた確実なif-thenルールの数が膨大であることはよくある。本研究では内的競争因子、外的競争因子、顕著度など新たな概念を導入し、より少ないルールで研究対象の重要特性を表すアプローチを提案し、実例でその有効性を示した。
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