研究概要 |
オンとライン学習過程および適応制御過程の力学系的過程としての特徴を,理論と実験の両面から明らかにすることを目的として研究を行っている。これらの過程であらわれる力学系的特異性の検証および特異性を生みだす力学系的機構の解明のため,今年度(平成19年度)も,リカレントネットワークのオンライン学習過程および適応遅延フィードバック制御過程を対象に研究を行った。また新たに,これらの研究を進める上で必要となる,カオスとは異なる特異性を示す力学系(1/fスペクトルを示す力学系)を対象にした研究も行った。 【1.力学系的特異性の検証】 (1)連続時間リカレントネットワークを用いたオンライン学習系でも,これまでに離散時間学習系や離散時間適応制御系で見られたのと同様の,通常のカオスとは異なる特異な振舞い(強い非双曲性や学習時間分布のべキ関数的減衰などの中立即振舞い)が現れることを数値実験を用いて明らかにした。 (2)前年度(平成18年度)に引き続き,様々なカオス写像を用いた離散時間適応遅延フィードバック制御系を構成し,通常のカオスとは異なる特異な振舞いが現れることを数値実験を用いて明らかにした。 【2.特異性を生みだす力学系的機構の解明】 力学系としての離散時間適応遅延フィードバック制御系が,位相空間全域でヤコビ行列参固有値1を持つ特異な写像で表現されることは,既に前年度(平成18年度)中に,一般の場合についても明らかにしている。 (1)前年度(平成18年度)に引き続き.離散時間リカレントニューラルネットワークを用いたオンライン学習系を幾つか構成し,これらの学習系も,上記のような特異な写像で表現されることを厳密に明らかにした。 (2)単純な離散時間力学系を構成し,上記の特異な構造によってひき起こされる力学糸的特異性(特に,不変測度,パワースペクトル,滞在時間分布にあらわれる特異性)について,厳密な解析を行った。
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