研究概要 |
看護ケアデータから看護過程の質向上に関する知見を得るために,WWWアプリケーションにより収集された多量のテキストデータを自動分類するシステムの開発を行った. まず,テキストデータをデータマイニング技術で処理するために数値データ化を行った.このとき,形態素と呼ばれる単位に分割し,これを利用して(1)文章の長さ,(2)専門用語の数,(3)専門用語の種類数,(4)句読点の数の4種類の属性を設定し,その値を決定した.これにより,ファジィ分類器やニューラルネットワーク等のデータマイニング技術を利用可能となった. 次に,看護過程分析の専門家が4段階評価を行った複数のテキストデータを教師データとして利用し,ファジィ分類器/ニューラルネットワークの学習を行った.このようにして構築された識別システムを用いて未分類のテキストデータを分類して,看護師に対する質問項目毎の分類性能を調査した.ファジィ分類器を用いた場合,未分類データに対して,質問項目によっては71%のテキストデータを正しく分類することができた.また,ニューラルネットワークを用いた場合,約60%のテキストデータを正しく分類できた.分類結果を検討した結果,複数の専門家が迷い無く同じ評価をするようなテキストデータに関しては正しく分類できている一方,専門家間で評価が分かれ,議論の末に分類がなされたようなテキストデータは正しく分類できていなかった.そこで,質問項目毎に専門家が着目する点を調べ,これを反映した識別システムを構築している. 看護過程の質向上のためのテキストデータ分類と言う観点から,質問項目によらず高い分類性能を示す識別システムの開発が必要といえる.
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