研究概要 |
本年度は, 逆問題解法のための複素ネットワークインバージョン法に適用する正則化法に関する理論的検討およびシミュレーションによる検討, 実際の逆問題に適用するための検討を実施した. まず, 複素ネットワークインバージョンのための正則化法に関する基礎的検討として, 複素ネットワークインバージョンに正則化法を適用し, 逆問題の不良設定性による解のばらつきの緩和動作を確認した. 具体的な問題として, 基本的かつ汎用的な例題である複素写像の逆推定問題を取り上げ, 解の収束性や分離能力などを検討した. また, 検討結果に基づき, 複素ネットワークインバージョンに正則化法を導入した場合の不良設定性の緩和動作および, 解の収束性や分離能力についての確認のために計算機シミュレーションを行った. これらの結果を英文論文および和文論文にまとめ, 国際学会および国内学会にて発表を行った. さらに, これらの基礎的検討の結果に基づき, 複素ネットワークインバージョンを実際の逆問題である画像復元の問題に適用するための検討を行った. 対象とする画像としては, 本年度はまずグレースケールのビットマップ画像を取り上げ, 実際の問題への適用を視野に入れてネットワーク構成や入出力画像の前処理などの検討を行った, 今後これらの結果を詳細に検討し, 学会等で発表を行う予定である. 本年度は, これまでの複素ネットワークインバージョンに関するトピックスや研究成果をまとめ, 英文の書籍の一章として執筆した. 今後は、複素ネットワークインバージョン法に関してこれまでに得られた成果をもとにさらに検討を重ねていく予定である.
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