研究概要 |
多目的遺伝的アルゴリズムをカーネルパラメータ推定に利用した実験では一定の成果が得られたものの, カーネル関数の性質や特性を考慮したカーネル関数の組み合わせについては芳しい結果を得ることができなかった. その結果を受け, 本年度は視点を変え, 識別器の性能を発揮しやすい様にデータを事前処理するデータ前処理について検討を行った. このデータ前処理は複雑な境界面を有している識別問題に対して多クラス化を施すことにより問題の容易化を試みるというというものであり, 対象データの属性次元が低い場合においては良好な結果を得ることができた. これらの成果については, 国際会議, 国内学会等で発会しており, データ前処理に関する研究についてはさらなる検討行い今年度中に論文としてまとめたいと考えている. また, 本年度は多目的最適化により得られた非劣解集合の情報を効果的に設計者へ提示するための設計支援に関する研究についても検討を行い, 大きな成果を得ることが出来た. 本研究は, 機械学習とは直接関連しないものの, 多目的最適化に関する幅広い分野に応用可能なものである. 本研究では, 多数目的のターボジェットエンジン設計問題を対象にその有効性を検証し, 一定の有用性を示すことができた. 今後は, 本申請課題を進めていく中で取り組んだデータ前処理に関する研究に対し複雑な分布を持つ高次元属性テスト問題に対しても望ましい容易化が実現されるよう検討を行い, 将来的には「遺伝子選択」, 「マイクロアレイデータの解析」といったバイオインフォマティクス分野への応用も視野に発展させていく予定である.
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