研究概要 |
本研究は,人間の視覚系のように柔軟なパターン認識機械の実現を目指し,パターン全体が大きく変動する状況に対応可能なパターン認識(様々な向きの顔画像を受容可能な個人識別,大幅な姿勢変化を許容する人体領域検出など)の手法を開発することが目的である.パターン認識手法としては,ニューラルネットやSupport Vector Machine等を用いる「例題からの学習」アプローチを採用し,多層パーセプトロンの恒等写像学習やカーネル主成分分析等,主成分分析によってデータの特徴をとらえた固有空間を抽出する方法をベースとしている. 平成18年度は特に,「頑健な恒等写像学習による三次元形状復元」を主なテーマとして研究を行った.これは,複数の画像の特徴点座標列からカメラの運動と物体の形状を復元するという,コンピュータビジョンにおいて基本的かつ重要な問題である.多層パーセプトロンの恒等写像学習アルゴリズムを修正することでこの問題が解けるようになることを明らかにした.さらに,データに例外値が含まれる場合にも安定した形状復元が可能なアルゴリズムを開発した.これを用いることで,特徴点の追跡を失敗した場合のようにデータ中に大きな誤差が含まれる状況でも,カメラ運動と物体形状を高精度に復元できることを明らかにした.本研究成果については,18年度中に学術雑誌論文(藤木,高橋,栗田,2006)として発表している.
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