研究概要 |
本研究は,人間の視覚系のように柔軟なパターン認識機械の実現を目指し,パターン全体が大きく変動する状況に対応可能なパターン認識(様々な向きの顔画像を受容可能な個人識別,大幅な姿勢変化を許容する人体領域検出など)の手法を開発することが目的である.パターン認識手法としては,ニューラルネットやSupport Vector Machine等を用いる「例題からの学習」アプローチを採用し,多層パーセプトロンの恒等写像学習やカーネル主成分分析等,主成分分析によってデータの特徴をとらえた固有空間を抽出する方法をベースとしている. 平成19年度は特に,「画像から抽出した特徴量を従来のようにベクトルとして扱うのではなく行列として扱うパターン認識手法」についての研究を行った.例えば,画像の局所特徴としてよく用いられるガボール特徴の場合,画素位置毎に複数種類(方位/スケール)のガボールフィルタを用いて複数の特徴量が取り出される.通常は取り出した特徴量を一列に並べて特徴ベクトルを構成するが,種類毎に列を分ければ(画素数)x(種類数)の行列を構成することができる.このような行列データに対する主成分分析/線形判別分析を考察し,表情識別や歩行者検出への応用を試みた.従来の手法と比較する数値実験を行い,より高い識別率が得られることを明らかにした.また,行列の構成の仕方を変えることで識別率が変化すること,カーネルベースの手法と組み合わせてさらなる性能向上が見込まれることも示した.本研究成果については19年度中に学会発表を行っている.
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