研究課題
本年度は基礎的な研究を行った。まず20世紀の<言語理論>を検討するなかで、「発話」と「言説編成」との関係を整理した。個別・具体的な状況で発せられたことばの分析から、歴史のなかのことばの集まりへと、連続した歴史学(「考古学」)的な視点を手に入れることを重視した。「発話」はつねに複数者間の社会的関係(役割や相互行為、効果-力の関係)から成立している。また同時に「発話」は歴史のなかで、対立する言説(発話群)や同調する言説との関係で、一定のかたち、あるいはリズムを有している。「創始」の言説から言説編成への展開を、以下の分析要素により一貫した道具とすることにつとめた。言語理論、社会学、哲学、論理学、詩学など、また言語理論のなかでも、スピーチ・アクト(語用論)と論理の分析を、いかに言語外の社会関係と結びつけるかを考慮した。その上で、ことばの集積からなる歴史次元を「言説編成」として、個々の「発話」同士がいかに同調や反論のリズムをともないながら、同じテーマの上で構成されるのかを検証した。この基盤の上で、現代のことば(情報)である映像と音声を中心に、マルチモーダルな視点からテレビ番組、ドキュメンタリー映画、写真入り雑誌、都市のかたりなどを分析しつつ、方法論の有効性を問うこととした(以上、主に『言語態分析』として成果を刊行)。次年度に向けて、パリ、ニューヨーク、東京と、<近代>の構成における市場経済とヴィジュアルな要素の擡頭を歴史的に研究するための、方法論(道具)の確立を重視し、基礎研究の段階が終わったところである。同時に、今後の研究方向のための史料調査・文献調査、映像アーカイヴを中心に情報を収集し、実地研究の準備が整えられた。
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カルチュール 第1巻第1号
ページ: 67-80
カルチュール 第4号
ページ: 169-193
Michel Foucault, mode d'emploi. Actes du colloque, Keio University 2006.
ページ: 31-37