研究課題
Go/Nogo課題をモデル実験系として設定し、そこでの報酬獲得確率の変動により衝動性の変化を、時間圧を負荷し抑制を困難にすることで衝動的反応の生起を操作した。それらの状況における脳神経の時間的・空間的活動、反応時間や正答率といった行動指標について、機能的核磁気共鳴装置(fMRI)、近赤外線分光法(NIRS)を用いた検討を実施し、次の成果を得た。1.機能的核磁気共鳴装置(fMRI)を用いたGo/NoGo課題時の行動反応、脳内活動の検証課題開始にともなって、前頭前野腹外側部の脳血流量が増大するという結果が得られた。これは従来の実験において報告されている反応抑制にともなう活性化領域と一致する。とくに、同領域の左側において、正反応に報酬が伴う報酬条件における有意な血流量増加が確認された。このことから、報酬時における反応抑制の機能亢進が生じていることが予測された。2.社会的ストレスが衝動的行動と脳内活動に及ぼす影響-近赤外線分光法(NIRS)を用いた検証-社会的ストレス下における衝動抑制課題(Go/NoGo課題)遂行中の脳の活動部位とその活動パターンについて検討することを目的とした。実験の結果、ストレス状況下においても、Go/No-Go課題における反応エラー数は低下しないものの、反応時間は遅延していることが確認された。このことから、ストレスに晒されると情報処理のスピードが低下するということが示唆された。また、ストレス群の脳活動は、正反応に報酬がともなう条件において前頭前野腹外側部の活動亢進が確認されており、上記の反応時間の結果とあわせて考えると、ストレス状況下では、前頭前野腹外側部の活動により統制条件と同様のパフォーマンスが維持されていることが明らかとなった。
すべて 2006
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