研究概要 |
薬動学における統計的推論の研究開発を進展させるために, コンパートメント・モデルの統計的推測及びそれに付随する諸種の主題を継続し, その成果を公表することにとり組んだ. すなわち, 1)血中薬物濃度データの観測機構(分析法・測定手技)に伴う不等分散性あるいは非正規性への対処法として, セミパラメトリックな接近法を開発し, それらをパラメトリックな方法と比較, 評価した. 2)コンパートメント・モデルの非線形性に注目して曲率測度の非線形混合効果モデルへの適用し, その性能を文献事例及びシミュレーションで評価した. 3)血中薬物濃度データの標本抽出時点・回数についての最適設計規準の非線形混合効果モデルへの適用し, その性能を文献事例及びシミュレーションで評価した. 4)一般化正規分布, 対数ガンマ分布, 打ち切り分布に基づいて, 血中薬物濃度データの観測機構の妥当性確認(とくに定量限界への対応)を行った. 5)ノンパラメトリックBayes流接近法に基づき母集団薬動学[Population pharmacokinetics]の最近の動向を調査した. 6)服薬遵守状況, 脱落例, 有情報中途打切り(Informative censoring)を考慮した最近の統計的方法論を調査し, その性能を確認した. さらに, 国内外での学会で報告するとともに国内外への雑誌への投稿を継続し, 医学・薬学の研究者への「薬動学における統計的推論」の啓発活動に従事した.
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