研究課題
実験計画法で用いられるブロック計画(block design)は、その組合せ構造や解析についてさまざまな研究がなされており、RAID (Redundant Arrays of Independent Disks)などの工学系分野にその応用が広がっている。RAIDは、処理速度と安全性を高める技術であり、ディスクの読み込み・書き込みを複数のディスクで並列に行うことにより処理速度を高め、記憶すべきデータを格納したinformation diskの他にディスクの破損箇所の発見・修復のためのcheck diskと呼ばれる冗長性を持たせたディスクを用いることによって安全性を高めている。安全性を高めるためといってcheck diskを多くすると追加のコストが増えるので、安全性と追加コストのバランスを考えることが重要になってくる。RAIDのアクセスコストを低減するため、Cohen等(2001)によって、完全グラフにおいてcluttered orderingという概念が導入された。これは,RAIDのinformation diskとcheck diskを完全グラフの辺と頂点に対応させてinformation diskの順序付けを考察する、というものである。また、Cohen等(2003)は、ブロック計画の1つであるシュタイナー三項系(Steiner triple system)を用いて、RAIDのアクセス順序の効率化を図っている。完全二部グラフを用いたRAIDのアクセス順序については、Muellerとの共著で2005年に研究結果を発表している。本年度は、このMuellerとの共同研究結果(2005年)をさらに発展させ、完全二部グラフにおける別の系列についてcluttered orderingの構成法を研究し、関連するブロック計画を用いてRAIDのアクセス順序の効率化を検討した。
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Algebras, Languages, Computations and their Applications, Publications of the Research Institute for Mathematical Sciences, Kyoto University 1562
ページ: 99-103