研究課題
本年度は、昨年度までに開発した繰り返し測定データに対ずる計数過程に基づくセミパラメトリック推測に対する累積残差による回帰診断法を報告した論文の改訂作業を行い研究成果を出版した。また、脱落を伴う繰り返し測定データに対して頻繁に用いられるIPCW法に対する局所影響度分析手法の開発を昨年までに行ったが、本年度はいくつかの数値実験を行いその現実問題への有用性を調べた。成果を、国際計量生物学会、IASC2008および統計関連連合大会にて発表した。論文を投稿し、現在最終的な改訂作業を行っている。この方法は独立作業相関の場合に限定されており、一般の作業相関を用いる場合の方法を開発することを本年度の目標としていた。直接的な拡張を試みたが、それは困難であると考えられ、何らかの近似的な方法を開発することが重要であると考えられる。one-step推定の考え方を導入することで、独立作業相関の場合の我々の公式に帰着する近似法が適用できることを見出した。現在のところ手法の構成に成果は限定されており、現在は現実問題での有用性を確認するべく、プログラムコードを作成している。我々の方法は、関心のあるパラメータへの各症例の影響度を、IPCW法が要求する各時点での脱落への複数のモデル由来の成分に分解した形式をとる点に特色がある。分解した項を別々に見ることで、脱落へのモデルが不安定であることが示唆される場合には、パラメータを共有したコンパクトなモデルを当てはめるなど、モデルの改善に対する示唆を得ることができることが期待される。このことを実データへの適用あるいは計算機シミュレーションなどにより具体的に調べるべく、プログラムコードの作成を進めている。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (4件)
Communications in Statistics, Theory and Methods 38
ページ: 542-559
統計数理 (印刷中)
Lifetime Data Analysis 14
ページ: 253-266