研究概要 |
近年、症候サーベイランスやバイオ・サーベイランスといわれるサーベイランスに関して世界的にその重要性が高まっている。その解析においては、ある疾病や症状などの集積性の検出およびその集積地域を同定するために用いる集積性の検定法を適用することができる。本研究では、平面状における集積性の検定として研究分担者らが開発したflexible scan法(Tango & Takahashi, 2005)をもとに時間変化も考慮したサーベイランスに適用できる方法として拡張を試み、アメリカのいくつかのサーベイランスシステムで実際に利用されているcylindrical scan法(Kulldorff, 2001)との比較を行った。その結果flexible scan法は、cylindrical scan法では同定できないような非円状の地域をより精確に同定できることが観察された。しかし、flexible scan法はその計算時間の問題から同定できる地域の大きさに制限があり、小さな地域もしくは中程度の大きさの地域での集積性の検出に適している。cylindrical scan法では円形のコンパクトな地域を同定することに優れており、flexible scan法は非円形の地域の同定に優れている。そこで、突発的事象が起きた直後のごく小さな地域を同定するに際してはcylindrical scan法が適しており、それが徐々に大きく広がる様子を同定するにはflexible scan法が適している。シミュレーションによる評価なども含め、この結果は現在、海外の学術雑誌に投稿中である。
|