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2006 年度 実績報告書

重水素交換情報を利用した精度の高い蛋白質同定法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 18700291
研究機関東京医科大学

研究代表者

川上 隆雄  東京医科大学, 医学部, 講師 (40366117)

キーワードプロテオーム / 質量分析 / H / D交換 / 質量シフト / 蛋白質の同定 / 翻訳後修飾
研究概要

生体由来の目的の試料から蛋白質を同定する工程は、プロテオミクスをはじめとする生物科学研究において必須のステップである。現在では、質量分析法(MS)と配列データベース検索を組み合わせた方法論がほぼ確立しており、基礎研究ばかりでなく、臨床マーカー探索などの応用分野にも利用されている。この方法論の適用に際しては、検索結果の中に含まれる多くの偽陽性ヒットの取り扱いと、最低一個のペプチド割り当てから同定の信頼性を確保することが重要な課題である。本研究は、軽水素/重水素(H/D)交換反応によるペプチド分子の質量シフト、および質量シフト値を蛋白質同定の評価基準として導入することを目的とする。
条件検討のため、ウシ血清アルブミンのトリプシン消化ペプチド混合物、およびリン酸化やN-アセチル化などの翻訳後修飾を含む数種の合成ペプチドを用いた。組成中の水が軽水(H_2O)である溶媒と、重水(D_2O)に置き換えた溶媒に対してそれぞれペプチド混合物を溶解した。溶解試料を、ESIを介して四重極イオントラップ型質量分析計に連続注入した。プロトン化あるいは重水素イオン化ペプチド分子の質量スペクトルと、CID MS/MSによるプロダクトイオンスペクトルを取得し、両分子の測定データを比較した。
これまでの検討では、測定した全てのペプチドの質量スペクトルは両者でほぼ同様の同位体分布を示した。比較によって得られる質量シフトの実測値は、測定精度の範囲内で理論値と一致した。プロダクトイオンスペクトルにおいても理論値とよく合う質量シフトが観測され、相対イオン強度にも本質的な違いは見られなかった。
今回のアプローチでは、一次構造から一義的に決まる理論値と、ほぼ完全に重水素交換したペプチドの実測値を利用してペプチド同定の妥当性を評価することが重要である。蛋白質混合物のための実用的な分析システムの構築が今後の課題である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2006

すべて 雑誌論文 (5件)

  • [雑誌論文] 2D-HPLC LC-MSによるMycoplasma penetransのリポ蛋白発現ならびにpyruvate代謝の解析2006

    • 著者名/発表者名
      佐々木裕子
    • 雑誌名

      日本細菌学雑誌 61・1

      ページ: 146

  • [雑誌論文] 糖尿病増殖網膜症における硝子体蛋白の部位別検討2006

    • 著者名/発表者名
      桂善也
    • 雑誌名

      糖尿病 49・Suppl.1

      ページ: S157

  • [雑誌論文] Complete deuterium exchange of peptides to improve protein identification using electrospray ionization/tandem mass spectrometry2006

    • 著者名/発表者名
      Takao Kawakami
    • 雑誌名

      Abstracts of the 20th IUBMB International Congress of Biochemistry and Molecular Biology and the 11th FAOBMB Congress

      ページ: 785

  • [雑誌論文] Use of deuterium exchange reactions for mass spectrometric protein identification with more reliability2006

    • 著者名/発表者名
      Takao Kawakami
    • 雑誌名

      Abstracts of the 17th International Mass Spectrometry

      ページ: 177

  • [雑誌論文] 重水素交換反応を利用した蛋白質同定の信頼性の向上2006

    • 著者名/発表者名
      川上隆雄
    • 雑誌名

      第54回質量分析総合討論会要旨集

      ページ: 276-277

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公開日: 2008-05-08   更新日: 2016-04-21  

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