モデル植物であるシロイヌナズナを3次元形状計測し、コンピュータ上で3次元形状モデルを再構築し、形状モデルベースで表現型の解析や変異体スクリーニングを行う手法の確立を目指している。変異体スクリーニング手法などを提案して来たが、実際のスクリーニングを行うときには、変異体の元系統である野生型の形質情報を基準値として知っておく必要がある。しかし現在のスクリーニングの現場では、人が目で見て葉が大きい小さいなどを判断しているので、形質の基準値そのものが存在しない。よって、変異体の元系統である野生型の個体について再構築した3次元形状モデルを使って、基準となる野生型標準モデルを作成する。このとき、最適な形状を現すようにパラメータを決めモデル化を行う。各パラメータの分布が分かれば、変異体スクリーニングを実際にコンピュータ中で行う事が可能になる。本年度は、モデル作成の前段階の処理まで行った。種収集と撮影個体の育成、3次元形状計測を行い、葉部位に特化してデータを抽出した。葉部位データについては、形質解析が可能になるため、葉部位特異の形質であるトライコームについてin silicoでの形質解析を行った。このときのトライコーム形質解析の結果をまとめJournalに投稿した。内容は、トライコームの葉面上での局在を検討したものである。葉の根元から葉尖端への方向に向かって、サイズの大きなトライコームの分布数が増えることを示した。また葉の中央部より周辺部にトライコーム数が有意に多い事を示した。
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