研究課題
DNAオシレータを構築するための基本素子である「分子ゲート素子」の開発を行った。DNA鎖を入力として活性化され、異なる配列のDNA鎖に変換して出力する分子ゲート素子は、DNA分子とニッキング酵素、およびDNA合成時に鎖置換反応を起こすDNAポリメラーゼから構成される。入出力反応について電気泳動、および二本鎖または一本鎖DNA特異的にインターカレートする蛍光色素を用いたリアルタイムの定量測定を行った結果、55℃の等温条件下で実際にゲートからの出力の活性化が起きる反応条件が存在することを、反応時の二本鎖形成および出力DNA鎖の増幅により確認した。さらに反応条件を最適化し、より生理条件に近い温度での増幅を実現するため、高次構造にしたがってDNA分子を分離する温度勾配ゲル電気泳動(TGGE)を用いた解析も開始した。分子ゲート素子による反応を組み合わせることで出力DNA鎖の濃度が発振するDNAオシレータについて、正しく動作する反応条件を予測したり、高効率な入出力反応を実現するための各DNA分子や酵素の濃度、温度などのより詳細な反応条件の最適化を可能にするため、熱力学的なモデルによるシミュレーションを開始した。DNA分子が競合的に二本鎖を形成する過程に対するモデル予測の妥当性を、蛍光修飾されたDNA分子を用いた測定により検証し、定量レベルで厳密な予測が可能であることを確認した。この成果について国際学会「DNA12」で発表し、LNCS誌に採録された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
DNA Computing, 12^<th> Int'l Workshop on DNA-Based Computers, DNA 12, Springer Lecture Notes in Computer Science (LNCS) 4287
ページ: 428-438
DNA Computing, 12^<th> Int'l Workshop on DNA-Based Computers PNA12, Springer Lecture Notes in Computer Science (LNCS) 4287
ページ: 393-403