研究課題
IT野にはヒトやサルの顔認識ニューロンが存在し、これは次のような挙動をすることが生理学者によって発見されている。まずサルに,複数のヒトやサルの顔を学習させる。続いて、このサルに既に学習したAさんの顔を見せる。すると最初に、ヒトをコードしている全ニューロンが発火し、その後、Aさんの顔をコードしているニューロンだけが発火を持続し、それ以外は発火しなくなる。つまり、最初は物体の大まかな認識(ヒトかサルかのグループ認識)が行われ、続いてそれが誰なのかという詳細な認識が時間を追って行われるということが分かってきたのである。18年度は、連想記憶モデルをこうした生理実験に対応させるために、サル群/ヒト群にグループ分けした記憶パターンを用意してグループ分け情報をモデルに獲得させるために同一グループに属する記憶パターン同士を関連付け学習するようにした。そして、このモデルの想起ダイナミクスを解析した。その結果、関連付け学習パラメータをある値以下に設定すると、生理学実験と類似と考えられる反応が得られた。一方、関連付け学習パラメータを上記より大きな範囲に設定すると、新たに概念形成の情報処理が行えることが分かってきた。繰り返し同じ順番で出てくる記憶パターンは、同一物体を様々な方向からみているだけである可能性もあり、各々の画像を別の物体として記憶するより、いずれが入力されても同じものとして認識するのも重要である。一方、学習順番が毎回異なる場合は、別の物体であると認識するのが自然であろう。そのため、記憶パターンの学習順番を連続的にしたり、バラバラにしたりしたところ、連続的な場合はいずれの記憶パターンが入力されても同じ反応が出るようになった。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (2件)
J.Phys.Soc.Jpn., Vol.75, No.10, p.104004 Vol.75, No.10
ページ: 104004
電子情報系高専フォーラム講演論文集 第5回
ページ: 107-110